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GEヘルスケア・ジャパンからの留職。大企業の人事がオズビジョンに来て感じたこと

留学ならぬ、留「職」。
自分が勤務している会社以外の会社で、同時に働くこの留職は、現在企業における人材育成の手法の一つとして広がりつつある。その中で、GEというグローバル展開する大企業に勤務しつつ、ベンチャー企業であるオズビジョンに留職をした岡部峰之さんにいろいろ話を聞いてみた。

Q1.なぜ留職をしようと思ったのでしょうか?

 これまで自分が経験したことがない世界で、いろいろなことを経験して力を伸ばしたいと考えたことがきっかけです。

 GEという会社は人の育成に力を入れている会社でして、定期的に「今後、どんな仕事をしていきたいか、自分の能力をどうやって伸ばしていきたいか」ということをPeople Leader(=いわゆる上司)から問いかけられるのですが、その中で私は冒頭のような「何か社内のトレーニングというよりかは、今まで自分があまり経験をしていないような実践の場に入ってやってみたい」という希望を伝えていました。

 もう少しブレイクダウンして、「これまでのキャリアは大きな企業の人事しか経験をしたことがないので、ベンチャー企業のようなビジネスのスピードが速く、またこれまで接したことがないような方がいるような組織で働いてみたい」とも話しをしていました。そのような折、People Leaderより「面白い会社があるので、岡部さん、話を聞いてみては」ということで訪問させていただいたのが、オズビジョンでした。

飲み会で饒舌に語る岡部さん
飲み会で饒舌に語る岡部さん

Q2.なぜオズビジョンだったのでしょうか?

 私は結構ミーハーな性格なので(笑)、「ティール組織で唯一取り上げられた日本企業」などとうかがうと、HRとしては非常に興味が湧いてくるわけですね。

ベンチャー企業ということも自分のこれまでの人生の中でなかった経験ができるのではないかと考えておりました。ちょうど今年、担当している部門で、「ティール組織」について、本の訳者である嘉村賢州さんを会社にお招きして理解を深めるセッションを開いていたりしたこともあって、どんな会社・組織なのか、胸を高鳴らせてうかがわせていただいたのを覚えております。

あとはやはり、オズビジョンで働いていらっしゃるHR・社員のみなさんの「人」の魅力、ではないでしょうか。「人」の魅力を表する言葉は世の中にたくさんあると思うのですが、なんといっても「仕事大好き!」「ポジティブでいこう!」「自分のためではなく社会のため、お客様のために!」というオーラが全開で(笑)、ご一緒させていただいて非常に気持ちの良い方が多いなと感じたことによるかと思います。

Q3.具体的にどんな働き方になるのでしょうか?

 9月から11月の3か月間、週の半分をGEで、残りの半分をオズビジョンで、という働き方になります。GE側の仕事はそのまま継続して持っていたので、もちろん出張等が入る場合はこの限りではないのですが、働く場所という意味ではGEのオフィス・オズビジョンオフィスとたまに自宅から(両社への)リモートワーク、といった感じでしょうか。

 現実的な話ですが、あくまでGE側のトレーニングの一環ということなので留職中のコスト的な負担は、給与も含めて全てGE側で、となっています。オズビジョンさんのオフィスはWeWorkにあるのですがこれもまた新鮮でしたね。レイアウトやデザインといった見た目もそうなのですが、ほぼ毎日1階の共有スペースでWeWorkに入っていらっしゃる会社さんやその関連の方々が様々なイベントをされており、誰でも参加することが可能です。異業種の交流というのが簡単にできてしまうのですね。ちなみに私もオズビジョンさん主催の「組織開発をいかに行うか」という勉強会に参加させていただき、他の企業の方とGEの取り組みについてシェアをさせていただく機会を頂きました。

イベントに登壇する岡部さん
イベントに登壇する岡部さん

Q4.どんなことをオズビジョンで取り組んでいるのでしょうか?

 留職を開始する前には事前に3つほどのテーマを頂いたのですが、メインで取り組ませていただいたのは、「クレド(Credo)」と呼ばれるオズビジョンとして大切にし、全社員に求める行動基準の浸透をどのように行うか、といったことでした。2019年に中長期のビジョンの達成を目的に、「Best Work、Best Team、Best Self」というクレドを設定しましたが、設定するだけではなく、これが全社員に浸透して初めて意味があり、そのことにより、さらに強い組織をつくっていこう、ということでHRだけでなく経営陣や部門のリーダーの方々を巻き込みながら議論し、アクションを決めていく場を何度か設けていきました。

 結論から申し上げると、いやあ、なかなかハードですね。(苦笑)。同じ会社の人間であれば明確に言語化されていないが「なんとなくある」共通の課題認識であったり、日々の他の業務から培われた信頼関係といったことを支点に、ある程度物事を前に進めることはできると思うのですが、違う会社で「なんとなく」ある共通認識が通じず、また日々培ったお互いの信頼がない初めて会うような方々と、クレドという比較的概念的なものについてディスカッションをして話をまとめていく、ということの難しさを痛感しました。

 当たり前のことですが、過去の取り組みを理解・把握した上で考え方をしっかりと整理していかないと、周囲の納得は得られないということを再認識をしました。極端に言いますと「GEで働いているときに、ちゃんと突き詰めて考えているか、人間関係や過去の自分の実績に依存した仕事の進め方や考え方をしてはいないか」というところは、大いに省みるべきだなと思いました。HRを含む事業推進グループのリーダーをされている松田さんから「岡部さん、失敗じゃないんです、そういった話し合いがマネージャー含めてできること自体が進歩だし、学べることがあるので、大丈夫です!」と仰っていただき、ちょっと救われましたが。(笑)

 あとはAdditionalで取り組んだ、と言いますか、オズビジョンさんとGEのHRメンバーが「勝手に」つながった(笑)結果ですが、例えば、私以外のGE側のHRメンバーが、GE社内で行っている人材育成のトレーニングのコンテンツを、オズビジョンさん側に出前出張するような形でデリバリーさせていただいたりとか、オズビジョンさんのHRの方に、GE側のオフィスまで来ていただいて社内のトレーニングに参加いただき、貴重な「社外からの視点」ということでInsightを頂いたり、ということもさせて頂きました。こうした私自身以外の両社間の人と人のつながりを作っていくということも、留職におけるひとつ重要な点なのかなと思います。

Q5.実際に留職してみて、オズビジョンというベンチャー企業とGEという大企業とで、違う点、共通点、どんなところがあったのでしょうか?

 違う点ということでは、3つあげさせていただきますと、一つ目は「How」を大事にする文化か、「Why」「What」を大事にする文化か、という点です。グローバルに展開をしている会社ですと、本社の方針に沿って「どのようにやるか?」というHowから話し始めることがあると思うのですが、オズビジョンさんは「そもそもそれは何のために落とし込むか?」「何を落とし込むのか?」というところを議論していく、ということです。オズビジョンさんのHRの方から頂いた印象的な問いかけの一つに「GEさんって何で人材育成をしているんですか?」というのがあります。

 GEのHRとして他社のHRの方から「次世代経営人材をGEさんはどのように育成しているのですか?」とか「若手抜擢はGEさんはどのようにされているのですか?」などという「How」のご質問はよく頂くのですが、「なぜ人材育成しているのか?」という問いは初めて、でした。この記事を読んでくださっている方がもし経営者や人事の方でしたら、この質問にどのように応えられるでしょうか?(笑) より本質的なことを深く深く考えていこう、そういった真摯な姿勢は一貫して会社の中に流れているな、ということを強く感じた場面でした。

 二つ目はスピード感です。GEも大きな会社としては、スピード感はある会社だと思うのですが、オズビジョンさんはちょっと違いましたね。 例として適切かどうかは?なのですが、例えば顧客も呼んで開催する社員全員参加の総会前に、創業者である社長が「明日こんな言葉を使おうと思うのだけど、みんなどう思う?」みたいな感じでSlackに投げると、10-20人くらいの社員の方がばあーっとコメントを発し、議論が始まり、「じゃあ、これでいきましょう」みたいに決まってくる。この感覚は今までになく、とても驚きました。大きな会社ですと、いわゆる経営企画的な部署が何度も事前Meetingを重ねて、社長やいろいろな役員とすり合わせをしてようやく決まる、そんなイメージだったのですが、オズビジョンさんは違いましたね。
 
 あと三つ目として面白いのは「月曜午前中に予定を話しあう」か「金曜夕方に成果をシェアし、称えあう」かというところも斬新でしたね。月曜日の午前中に、部門別に今週の予定やアクションを確認しあうMeetingが集中している会社さんって多いのではないでしょうか? 私どもの会社の部門もそういうところが多いのですが、オズビジョンさんではそういった月曜の予定やアクションを話しあうMeetingも一部行いつつ、金曜日の夕方に「今週のドヤ!」ということで、自分があげた成果をチームのメンバーに共有し、また他のチームメンバーの成果も知り、お互いに褒め称えあう、ということをされています。普段、同じ部署にいるチームメンバーがどんなことに苦労して、それを乗り越えて成し遂げているかを知る、またそれを互いに称えあうということは組織運営の基本的なことかもしれないのですが、昨今リモートワークなどでなかなかそういう機会が作れていないという会社さんも多いのではないでしょうか。そういった意味で、この「月曜午前のアクション確認型」か「金曜夕方成果確認型」という対比はどちらがよい・悪いということは横におき、面白いなと感じていました。

 共通点ですが、一つ目は「人を大事にする」ということです。オズビジョンさんは採用面接に非常に力をいれて実施されており、カルチャーフィットであったり、それこそ「クレド」に合う人材なのか、というところをまず入り口のところで極めて厳選をされているなと感じます。そして、そうした厳選なセレクションを経た社員に対して、ありとあらゆる手段を使って働くモチベーションを高め、仕掛け・制度を導入しており、社員エンゲージメントのチェックもかなりの頻度で行いながら、そのチェック結果から具体的な改善アクションに繋げていくスピード感はまさに「半端ない」と思います。自分が新卒だったら、こういった会社で鍛えられても良かったのではないか、とも遠い目をしながら振り返ってしまいました。

 二つ目ですが、組織の大きさにかかわらず、どの組織でも組織間の壁・ギャップというのはある程度存在するのかな、と感じました。ベンチャー企業は比較的人数規模も少ないからみんなが一枚岩で一直線!と安易に想像をしていたのですが、機能分化が起こってくることによってそうした「隙間」や「二遊間ゴロ」的なものも生まれて、「向かう方向性の違い」の擦り合わせなどが必要になってくる場面もあるんだなと感じまた。しかし、まあこれはありとあらゆる「組織」のいろいろな歴史を省みても、全てのHRが半永久的にタックルしていくことが必要なことなのでしょうね。

Q6.最後に留職に関して、またオズビジョンに関してコメントがあればぜひ。

 日本の市場・経済が右肩上がりではなくなって久しい現在において、以前のようにどんどん事業が成長して、新しいポジションが出来て、人材育成の機会が社内において多く確保できている企業というのは一部の業界を除けば、それほど多くはないのではと感じております。また、トレーニングに投資をすること自体がコスト的に難しくなっている企業は少なくないのではないでしょうか。そうしたとき、あまりコストをかけずに(スキーム設計によるでしょうが)、また社内の人材の「視野」を拡大し、育成を図る、またそのノウハウを持ち帰って現職で活かす、と考えれば、この留職というやり方が様々な企業・場面でワークする可能性はあると考えます。

 留職における変化の大きさ(=学びの多さ)=職種(どれだけ現職と違う職種か)×業界(どれだけ現職と違う業界か)×企業規模(どれだけ規模が違うか)といった感じになるのかなとも思います。現職と変われば変わるほど、学びは大きくなるかと。
 もちろん変え過ぎると大変でしょうが。(笑) ひょっとしたら今後は、これに×ロケーション(例えば他国で留職)という要素が加わったら面白いかもしれないですね。
 
 オズビジョンさんへの一言ですか。。。たくさんありますね。(笑)

 オズビジョンさんのオフィスで働かせていただいているときに、ソニーの有名な設立時の趣意書「自由闊達にして愉快なる理想工」という言葉がよぎったことがありましたが、このイメージに本当に近いですね。そうした「雰囲気」の中で短い期間とはなりましたが、ご一緒をさせていただたことは本当に有難いことです。そういった意味で感謝しかありません。

 一番最初にHRのみなさんとお会いをさせていただいたときのみなさんの目の輝き、働き始めて、HR以外の部門のリーダーのみなさんと1 on 1をさせていただいたときに、みなさんから異口同音に聞かていただいた「働くことの意義」や「なぜオズビジョンなのか」といったことに関する熱いパッション、クレドに関してこちらの進め方で至らぬころがあると遠慮されることなく、すぐに率直かつ的確なフィードバックをくださること(そしてその後に丁寧なフォローアップも(苦笑)。手を煩わせてホントすみません。(笑))、すべてが「ビシビシ」と私の五感に刺激となって文字通り突き刺さってきました。そういった意味では、前職で2年間海外に行っていたのが社会人人生の第一青春期だとしたら、今回のオズビジョンさんへの留職は第二青春期だったのかもしれませんね。

ハロウィンで第二青春期の岡部さん
ハロウィンで第二青春期の岡部さん

 とまあ、あまり叙情的な申し上げていても仕方がないので、ぜひ今後、留職が終わった後でも、狭いHRの世界ですので、いつでもコネクトさせていただいて、社会のため、人のために何か一緒にアクションをさせていただけましたら、これに勝る喜びはございません。

有難うございます!

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