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増税前の駆け込み散財、不要不急の美容液。

お買い物って罪深い…。クレジットカードを持ってないライターの懺悔(ざんげ)を聞いてください。ああ、罪悪感。

 消費税が8%から10%になる、最後の猶予期間。2019年9月、わたしはちょっとだけ焦っていた。連日メディアが「増税前に買うといいもの」を教えてくれるけど、まだ何も買ってない。欲しいと思っていた電化製品は増税後でもいいというから、気が抜けて選択肢から外してしまった。還元セールにならないもの、それは化粧品。そういえば、最近は美容液を使っていない。

 美容液はわたしにとって必需品ではなく、お金に余裕があるときに使うものだ。いつもはハトムギの化粧水で肌を整えたあと、30枚ほど入っているシートマスクを使い、適当な乳液を塗りたくっている。少し前まで、ファミュの花の香りがする美容液を使っていたけど、それが切れてから使っていない。アルビオンのエクラフチュールにはずっと憧れているし、資生堂のアルティミューンも欲しいと思ったことがある。もっとも、肌に大きな悩みがあるわけではなく、そこまで余裕があるわけでもないので、美容液からはここ数ヶ月、遠ざかっていた。

 しかし今回は、増税前だ。たった数百円かもしれないけれど、わたしにとっては大きな数百円。それに、夏の間のお手入れがおろそかだったせいか、少しだけ肌がトーンダウンしてしまったのだ。失われた透明感を取り戻したい。買うものは決まった。増税前、わたしの最後の買い物は美白美容液だ。そう心に決めて、美容誌やインターネットのレビューを読む日々が続いた。

わたしはちょっとだけ焦っていた

 色々と考えた結果、ディオール スノーのエッセンスオブライトを購入した。ポーラのホワイトショットや資生堂のHAKUといった名だたる名品と迷いに迷った。でも、以前使っていたグロウブースターがとてもよかったので、今回もディオールにお世話になることにしたのだ。今回買ったエッセンスオブライトはディオール スノーというラインから出ている。ディオールの美白ラインらしい。

 決め手は、ずばり見た目だ。サンプすも使わないで、現品で購入してしまった。以前グロウブースターを使っていた時も「見た目が理科の実験の道具みたいでかわいい」という理由で購入した。そんなくだらない理由で買った美容液だったが、手にコロンとおさまるサイズ感は旅行のときに重宝した。それに、化粧品棚に並ぶ姿はかわいい。絵になる。あ、やっぱりこれにしてよかったな、と毎回満たされた気持ちになるのだ。

かわいいは散財をすべて肯定する

 肝心の効果だけれど、即効性はない。店員さんには「三ヶ月ほどの継続利用で肌色が明るくなります」なんて言われたけど、まだその兆しは見えない。ただし肌はなめらかになった…と思う。実験道具みたいなかわいさを担っているスポイトは、ぎゅーっと思いっきり吸えばたくさん出てくるのだけど、一回分が明確に決められていない。まさかディオール側も「スポイトをぎゅーっと強く吸って一回分です」みたいなことは言わないだろう。

 とはいえ、ディオールの甘い匂いに包まれるスキンケアというのは幸福度が高い。肌色が明るくなるかどうかはもうちょっと待ってみよう。今のところは、肌がもちもちするので良い美容液だと思う。せっかく美白美容液を買ったのだし、トーンアップしないと意味がないのだが、それは「かわいいからOK」ということにしておいた。

 かわいいは散財をすべて肯定する。でも、さすがに効果が出ないことには虚しいので、透明感が出てくる日を、今か今かと待ち続けている。

つづく

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