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恋する私のスノーボード散財記(運動嫌い)

お買い物って罪深い…。クレジットカードを持ってないライターの懺悔(ざんげ)を聞いてください。ああ、罪悪感。

 付き合う人間に合わせて趣味が変わる人のことを、心の底から「くだらない」と思っていた。相手に合わせて何かをやるなんて、自分の人生には無縁なことだと思っていた。パートナーの「スノーボードやろうよ」という一言に乗せられて、実際にやってみるまでは。

 私は本当に運動に縁がない人生を歩んできた人間だ。初めて行ったゲレンデで、全身レンタルの装備品に身を包んだ私は「立つ」という動作すら出来なかった。初心者はよく転ぶので、必然的によく立ち上がることになる。これが、全く立てないのだ。

 しかしパートナーの献身的な指導により、なんとか立てるようになり、少しずつ滑れるようになってきた。どんどんできることが増えてきた、その時。「スノーボードを買おう」と言われて「考えさせて」と反射的に答えてしまった。

シャキーン

 スノーボードは、言うまでもなくお金がかかる。まずスキー場に行くまでの交通費がかかるし、行ってからはリフト券と食事代がかかる。遠いところであれば、宿泊費もかかる。今までは近場のスキー場だったし、道具はレンタルしていたから、あまりお金はかからなかった。何より、道具が手元にないから「いつやめてもいい」という気楽さがあった。

 すぐに「買おう」と即答しなかった理由は、まだある。そもそも運動嫌いな自分に不釣り合いな趣味を、どこまで続けられるか?という不安だ。自信がなかったのだ。部屋に置いておくにはかさばるスノーボード。もし、買っても「もうやめる!」となってしまって、片手で足りるくらいの回数しか使わなかったら…。化粧品や洋服なら、すぐに売ったり処分することが出来るけれど、スノーボードの処分方法は思い浮かばない。捨てるにしたって粗大ごみだろう。

買っちゃいました

 しかしそんな不安も迷いも、BURTONから出た〈Talent Scout〉という板が吹き飛ばした。私は知らなかったが、スノーボードにも洋服と同じようにシーズンがあり、板のグラフィックは毎年変わっていく。だから可愛いと思ったグラフィックは、わりと一期一会なのだ。

 サイトで「おばあちゃんの花柄ソファー」と表現されたソールは、今まで見てきた中で一番私に合っていた。派手じゃないけど、ちゃんと可愛い。きっと、この板ならスノーボードを続けられるだろう。いや、続けられるはずだ。自分を何度も説得する。

 板を買う決心をして向かったのは、今までなら絶対に足を踏み入れなかった淡路町というエリアだ。隣の神保町が古本屋街なら、淡路町はスポーツ店街。ムラサキスポーツのようなチェーン店でさえ入りづらいのに、入ったのは個人がやっている小さなお店。現金一括購入の代わりに、かなり割引をしてもらった。それでも片手じゃ足りないお金が飛んでいって、覚悟を決めた。私は、この板できっとうまくなる。そうでなければ、わざわざ買った意味がない。

シャキーン

 一度大きな買い物をしてしまうと心が楽になるのか、二枚目の板も買ってしまった。それまでは新潟や長野で満足していたのに、北海道に行くことも覚えてしまった。スノーボーダーよろしく「本州と雪が違う(気がする)」なんて言ってみたりする。そういえば、グローブも新調した。次はジャケットが気になっている。

 スノーボードは、本当にお金がかかる趣味だと思う。そして何かを新調したら、その分だけ「滑らねば」と思う。雪不足の今年だって、もっともっと滑りたい。いや、滑らないと減価償却が…なんて、ケチくさいことを考えてしまうけど、仕方ない。そこはまだスノーボーダーにはなりきれず、現金一括購入に後ずさる小心者のままの私である。

つづく

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